一橋大学の自然

 私は国立市に住んでいる。一見すると緑の多そうな街なのだが、昭和初期の開発とあって、公園を計画的に配置するような制度がなかったようだ。そのため、一橋大学のキャンパスが唯一のまとまった緑といえるだろう。
 「国立市内の自然をよく見てくれてありがとう」とSさんに言われたことが気になって、ときどき市内の自然の状況を確認している。
 一橋大学西校舎の国際交流会館寄りの雑木林の中央に樹木がなくなっていることに驚かされた。グーグルマップの写真でも林の真ん中に穴が開いている。ここは以前伐採した樹木置き場になっていたような記憶がある。
 北西角のグランドの東側の雑木林では伐採後の切り株がめだった。松枯れのアカマツのようにも見えた。林床に苗木が植栽されていたので、四半世紀前に国立に移り住んだときにみていた落ち葉かきは行われなくなり、土壌の富栄養化が進んで、松枯れが進行しているのかもしれない。
 うれしかったのは、職員集会所の周囲の明るい草原が変わらず残っていたことだ。まばゆく輝くキンポウゲ科の黄色い花に彩られた草原は草刈りによって維持されている。草刈りが行われていない校地が多い中で、この場所の草刈りが継続されていることは、よい伝統として、大学当局に認識してもらいたいものである。機会をみつけて何らかの方法でお伝えしたいと思っている。(4月30日)