佐伯先生

 私の卒業した研究室の先生は佐伯先生と言います。佐伯先生は、1953年の門司・佐伯の物質生産の論文が有名で、そのために本人の意思とは異なった人生を歩んだのではないかと弟子が思うような先生でした。
 佐伯先生は先生と呼ばれることが嫌いで、弟子からも佐伯さんと呼ばれるように心がけていらっしゃいました。私が初めて研究室に所属したのは卒論がなかったので、修士1年の時で、佐伯先生が53歳の時でした。私は今、55歳で、当時の佐伯先生よりも年をとってしまいました。
 私も時々倉本さんと呼ばれるようにしたいものだと思うのですが、研究室に教員が1名の明治大学では倉本さんでは不都合かもしれません。